北の島放浪記

食、ダム、催し物など雑多な書き物

留辺蘂町 山の水族館

 

 


山の水族館(やまのすいぞくかん YAMA NO Aquarium)は北海道北見市留辺蘂町(るべしべちょう)の温根湯温泉(おんねゆおんせん)にある淡水魚の水族館。北の大地の水族館とも呼称された。

概要
大雪山のふもとに建つ水族館で、淡水魚を展示している。前身の「山の水族館・郷土館」は集客減が続き、2012年のリニューアルでは3億円余りの予算が提示され、これを受けて、水族館プロデューサー・中村元が新しい水族館を監修した。世界初の「川が凍る水槽」や、日本初の「滝つぼ水槽」などがつくられ、リニューアルして半年以内に、前年比数倍の入館者を集めた。巨大イトウを群れで飼育したり、温泉(冷泉)を利用したりしている。また、水族館の温泉水は魚の成長を早めることが確認されている。
山の水族館・郷土館
山の水族館・郷土館」は、1978年(昭和53年)4月29日~2011年11月6日[4]に大雪山の麓に設置された公立水族館で、郷土館を併設していた[注釈 1]。 山の水族館は、当時の留辺蘂(るべしべ)町長が「海に水族館があるのは当たり前。山にでも川には淡水魚はいる。山に水族館があってもいいのでは」と観光開発の意義を述べ[6]、コンピュータソフト会社から転職した臨時職員が、北海道外の水族館を視察し、山の水族館のコンセプトを「北海道の淡水魚を収集」、「熱帯魚も扱う温泉水族館」と企画し、留辺蘂町が建てている。以下は北見市の案内である。
北海道内に生息する約50種類の淡水魚を集めた全国でも珍しい淡水魚の水族館。なかでも圧巻なのが幻の魚と呼ばれる日本最大の淡水魚、イトウ。巨大なイトウが50匹近い群をなし悠然と泳ぐさまに、北海道の雄大な自然を感ぜずにはいられません。併設する温泉水族館では、巨大ナマズウーパールーパーをはじめとする世界の珍しい熱帯魚も見ることができます。
また、郷土館では、開拓時代を偲ばせる森林鉄道、村落などを再現したジオラマが見もの。マルチスクリーンでは、大きな画面いっぱいに映し出される留辺蘂の四季や動植物の姿を通して、このまちの多くを知ることができ、旅の楽しさを倍加してくれます。
— 留辺蘂自治区 訪ねてほしい観光スポット、2011年2月15日 北見市 留辺蘂総合支所産業課
温根湯(おんねゆ)温泉は、高度経済成長と共に団体客を集めて賑わい、 水族館開館の1978年に入館者は5万人を超えた。 児童の社会見学施設としても利用され、開館後6年の間、年間4万~5万人台の入館者を維持していた。 のちに、水族館の周囲には道の駅おんねゆ温泉が整備された。道の駅の建物や付属施設(果夢林(かむりん)の館、クリーンプラザおんねゆなど)が建てられると、水族館はそれらの陰に隠れた。また、山の水族館・郷土館は、冬期間は気候が厳しく客足が落ち込むため休館していた。
開館後、数年たつと入館者は減少傾向となり、水族館前の広場に世界最大級の「からくりハト時計塔」が完成した1996年には入館者4万5千人台に回復したものの、98年以降は2011年の閉館まで2万人台に落ち込む。 また、水族館のそばにある温根湯(おんねゆ)温泉街は賑わいがなくなり、ホテルや店の廃業も相次ぎ、シャッター通りとなった。 水族館の経営も年間200-300万の赤字であった。 赤字続きで危機的状況となり、リニューアルを計画された。 ある職員は2006年に、「温根湯(おんねゆ)の道の駅や山の水族館から新北見市の観光資源を発信する工夫が必要」と述べている。また、当時から勤めていた別の職員はリニューアル後の取材で、このころの展示手法は水泳プールのような薄水色の水槽の中で魚を泳がせる展示であったと述べ、また、「面白さがなかった」とも述べている。一方、リニューアルに関わった北見市職員は「北海道開拓記念館だって月何千人の世界。名も知られていないミニ水族館としては、入館者が来ていた方だった」と自評する。また、北見市職員を取材した朝日新聞も、冬期休館する施設としては「健闘」していたと、報じている。 

 

冬に凍る川の水槽
リニューアルで設置された「北の大地の四季の水槽」のことである。北海道の激流に生息する魚類を展示したもので、留辺蘂(るべしべ)町の無加(むか)川をイメージしているという。水槽の川には、オショロコマやヤマメ、ニジマスブラウントラウト、アメマス、ミヤベイワナ(2013年7月より飼育展示)など6種以上の淡水魚が展示され[5、氷の下をゆっくり泳いだり、川底でじっとしていたりする姿が観察できる。1月の平均気温が-9.6度で、厳冬期には最低気温が-20℃以下になる屋外に設置されている。普段は流れている川が厚く全面結氷する様子が観察でき、水族館はこれを「世界初・世界唯一の展示」としている。
中村は、館にはヤマメやマスといった一般的な魚しかいないため、魚での集客は不可能と判断し、頭を悩ましていたが、温根湯(おんねゆ)温泉の隣のつるつる温泉で露天風呂に入浴した際、体は温かいのに髪の毛が凍りついた体験をし、この地の自然を用いることに着想を得た。穴(池)を掘り、それを館内からガラス越しに見られるようにしただけの屋外の展示になった理由を、北見市は予算の低減化のためとしている。その一方で留辺蘂(るべしべ)は北海道でも寒さが厳しい地方としられ、中村はそれを「誇り」や「冬の魅力」、「武器」にすることを思いついたとしている。「超厳寒というこの特性はどこにも真似できない」、「本州の水族館で冬を再現するには巨大な冷凍設備が必要」と、中村はいう。テレビ東京Newsモーニングサテライトは「弱みを強みに変えるという逆転の発送」と報じ、街の活性化にもつながっていると報じている。
この水槽の激流は、豊富な地下水と、ドイツ製のすごい流れを作り出すポンプにより実現された。中村によれば、濾過の必要のない井戸を掘りあて、豊富な地下水が手に入り、北海道の淡水魚なら循環ろ過の設備が必要なくなり、その分経費が削減できたと説明した。一台で最大3.3メートル毎秒の流れを作り、整流機能で5m先まで水流がとどく起流ポンプを使うのは、川の水を全て凍らせないためであるとしている。水槽の底の多数の石は、水族館の職員自ら収集し、全て手洗いして敷き詰めている。その成果もあり、魚の産卵行動も見られている。
開館最初の2012年には、この水槽が世界で初めて完全に結氷する日(24時間、水面が氷で覆われた日)を当てるクイズも行われ、結果は2013年1月18日だった[59][60][30]。この地方の川は5-6センチは凍るというが、この時期にしては暖かい気温のため、氷の厚さは2センチ弱であった。水族館職員はガラス面が凍り付かぬように、厳寒期でも水槽に潜ってメンテナンスをしている。
屋外展示は水辺には草と樹木が育ち、季節ごとに変わる。春に芽吹き、夏は茂みを形成、秋には紅葉し、冬は積雪し川が凍るといった北海道の渓畔林の光景がみられるように設置されている。

 

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